最近読んだ本

「狂い」のすすめ (集英社新書)

「狂い」のすすめ (集英社新書)

怠けている者には、いろんな事情があるはずです。ひょっとしたら病気かもしれません。いや、怠け者というのは、そういう個性なんです。"おっとりとした性質"と表現すれば、また別の印象があります。(p.151)
遅刻をした者も、ひょっとしたら駅の構内で苦しんでいる人を見つけ、その人の世話をしておくれたのかもしれません。電車が遅延したのかもしれない。そのような事情も聞かずに、いきなり「遅刻は悪いことだ。遅刻してはいけない」と判断を下すのは、下す人のほうが間違っているのです。(p.152)

人を裁くな!は本当にその通りだな~と思った。断罪する人は相手の事情をどれほど考慮しているのだろう、と人の悪口にためらいのない人を見るとよく思うので間違っているのですとすっぱり書いてあるのは気分がよかった。なんでもかんでも人の期待通りに行動できる星の下に生まれる人ばかりではないし、本人にもそこは選べないのだから、みんなもっとやさしくなればいいのになあ。

あと、印象に残ったのは病気と仲良くする、って話。病人になったら立派な病人として過ごせばいいということ、ないものを惜しんでも仕方がないものね。

年をとるのが悲しいという価値観は駆逐してやりたい。誰しも必ず老いるのだから嬉しいとは思えないまでも悲しいと思わずに済むくらいにはなればいいのに。

老・病・死を敵視することは、自分自身を敵視することになります。それは愚か者のすることです。(p.107-108)

愚か者のすることです!はい。

 

 

君がいない夜のごはん

君がいない夜のごはん

 

 ほむほむのエッセイは面白い。これは食べ物にまつわる話。生ハムメロンは自分には高度すぎて生ハムとメロンを別々に食べてしまうとか食べだしたら止まらなくてあとで後悔するとかお気に入りのパンに頭の中の逆ソムリエが変な(でも妙に納得できる)ことを言うからお気に入り度が下がったとか、一人で一喜一憂していてほほえましい。

 

 

だって、女子だもん!!: 雨宮まみ対談集

だって、女子だもん!!: 雨宮まみ対談集

 

 他人からの視線という降り積もる雪をガーッと雪下ろしする、もしくは、ヒーターで雪を積もらせないようにするためには、とにかく「勉強しろ」ですね。(p.71)

教養をつけるには楽しくないこともやんなきゃいけない。我慢して頑張ってさ。つらくてもわかんなくてもとにかく哲学書を読み続けたり、映画も映画史に出てくる人の作品を片っ端から毎日観たり。娯楽じゃないから、楽しいことなんかないですよ。でも、それをやってればとりあえず書名やタイトルだけでもわかるようになる。好きなものだけを追っていくというのも考えもので、面白くないものこそ、避けてちゃいけないんですよね。面白くないものに当たらないと、逆に自分が面白いと思うものの輪郭がわからない。面白くないものに対して悪口を言う用意っていうのが、実はその人の強烈な魅力、個性になるんですよ。(p.89)

 湯山さんのこの話がとにかく印象的だった。

わたしにはなぜだか鑑賞は楽しまなければならないというような思い込みがあって、楽しめるかわからないものは初めから手を出さないところがあった。だから、楽しくなくても知識のためにひたすら片っ端から手を出していってもいいんだ!というのは目から鱗だったといっていい。