「短歌と俳句の五十番勝負」を読みました

短歌と俳句の五十番勝負

短歌と俳句の五十番勝負

 

いろんな年齢・職業の人が出すお題の単語を使って歌人俳人が一首・一句読むというもの。短歌と俳句自体のカラーも、二人のエッセイの筆致も全然違ってコントラストがおもしろい。俳句は聞いたことのない季語も多く、エッセイで解説がつくのは初心者にはありがたかった。短い一句の中の言葉がひとつわからないと何が書いてあるのかさっぱりわからなかったりする。

季語以外にもわからない言葉があって、「安普請」なんかがそう。短歌を読んで俳句を読んでエッセイを読んでもわからなくて首をひねる。あんぷせい?読み方すらわからない。あとがきの対談で、壇蜜がこのお題を出すのが、言葉との距離感が絶妙でイイって話が出ていて、もうぜんぜんその距離感わからんと思って辞書を引いた。

やす‐ぶしん【安普請】

安い費用で家を建てること。また、そういう粗雑なつくりの家。

それで、短歌と俳句をもう一度見直すとようやく情景が見える。壇蜜が安普請、たしかに、絶妙…。いかにも!ではないけれど似合う。良い。お題は朝井リョウ「ゆとり」みたいなド直球なのもあれば、又吉直樹「唾」とかもあって誰が出しているのかも気になってしまう。

 

特に好きな俳句はこれ。

カルピスの氷ぴしぴしなり夕立 (p.51)

ありありと情景を浮かべることができる。自分の経験に基づいた、グラスの中で鳴る氷の音、夏の夕方、湿度の高い空気、窓の外の夕立。夕立は「ゆだち」と読むそうです。

好きな短歌はこのへん。

風見鶏の、風見卵を、風見猫が、狙ってくるくるくるくるきらり(p.26)

かわいい。

AKB48が走り出す原子炉の爆発を止めるため(p.82)

 なんか…わかる。B級映画のポスターみたい。